久保恒造が3位に入賞した。
しかし、実はこのレース、我々コーチ陣は5位でゴールと判断していた。
30秒ごとにスタートしていく選手に、順位と秒差、指示を出していく。
そして最終順位を出していく。
タイムランチャー(パラ専用タイムチェックソフト)でのチェックを行っていたが、1周目で6位。5位の選手と5秒差。
我々は、この情報で4番手、5番手の選手との勝負に切り替えた。
残り1kmで逆転し、5位に上がり、最後まで頑張らせた。
ゴールして、非公式のリザルトが出されたら、なんと久保選手が3位になっている。
それも2位との差は1秒・・・・
「え~、なんで・・」と自問したが、もう遅い。
選手に正しい情報を伝えられなかったこと。
そして、最後の1kmの戦い方をスタッフや選手に伝えられなかったことを悔やんだ。
銅メダルの久保選手
夜にタイムランチャーをみせてもらうと、その様子が分かってきた。
1周目、1位はダヴィドヴィッチで13秒負け、2位はグレゴリーで9秒負け、3位イレクで7秒負けだった。
久保は、6位。
振り返ってみると、山のコースにいるコーチのところで、4位と5位の選手とチェックを入れた。
無線で飛ばし、スタジアムにいるコーチが入力し、新しい情報を共有する。
4位のマキシムに差をつけられ19秒負け、5位のアレクセイに9秒勝ち。
(アレクセイが落ち、4位以上の選手たちとは離されてしまった・・・)と判断してしまった。
この時に、1周目の1位から3位までの選手がノーマークになっていて、実は、久保は2周目、驚異的なスピードアップで、マキシム以外をごぼう抜きしていたのだった。
タイムランチャーの画面
2.5km地点の久保選手、スタジアムに戻る(動画から)
数字を読むと、アレクセイとの差は5秒負けから9秒勝で、2周目だけで14秒勝っていることになっている。
アレクセイとダヴィドヴィッチは同じLW12で走力もほぼ互角。
この時点で、ゴールして2位になった「ダヴィドヴィッチに1秒、または同タイム」と読まなければならなかった。
男子と女子が2.5kmコースを走り、切れ目なく走っている。ビブ番号を入力し、通過と同時にキーをたたく。
と同時に画面に表示された順位や秒差を無線で飛ばす。
日本選手が何人も出場している時は、その都度チェックしながらの作業になるから大変だ。
画面のデーターを「読むこと」ができなかった。
対応策考え、新しい配置もできた。
次回、この教訓を生かしていきたい。
ソチ本番では、スタッフの人数が制限されていて競技会場には数名しか入れない。
タイムチェックができないと戦えない。
ワックスコーチも足りない。
過去のパラリンピックでは、このようなことはなかった。
一人何役もこなさないとダメだろう。
IPCへコーチへのアクレカードを要求しているが、結果がでていない。
我々スタッフのスキルアップを図るしかない。
ガンバレ!