高校入学を目前にして被災した阿部友里香。
地元の高校へ進学予定だったが、街も壊滅的な状況で、できれば内陸部の高校へ転校し、スキー部のある高校へ行きたいとメールがきた。
もう3月の下旬で、これは急がないと間に合わないと思い、あわてて動いた。
実現できるかどうか、わからなかったが、同じ東北だったら、山形の北村山高校の杉沼先生に聞けば、岩手県の高校のスキー部の情報がわかるだろうと思って、電話した。
北村山高校は、太田渉子選手の母校で、杉沼先生にスキーの指導を受けた。先生はお忙しいのに、いつも激励会や報告会など、渉子の激励にかけつけてくれる良き先生だ。
杉沼先生から、「岩手県なら、盛岡南高校が熱心に部活をされているので、立花先生に連絡してみては」とアドバイスいただいた。
すぐに、盛岡南高校へ電話を入れた。
「パラリンピックの監督です。スキー部顧問の立花先生いらっしゃいますか?」と、突然の電話で、それも、パラリンピックを目指している生徒がいるので、入学させてほしいなどと、無理難題の電話だったと反省している。
でも、熱意は届いて、先生が調べてくれた。
県教育庁の被災した生徒の受け入れについての通達を、すぐに知らせてくれた。
「すぐに、受験して合格した高校へ、まずは相談しなさい」とアドバイスをもらった。
阿部友里香にとって、勉強とスキーができる環境でなければ、クロスカントリースキーでのパラリンピックの道は正直厳しい。
そんな僕の想いが伝わった。
対応してくれた立花先生は、親切に制度や手続きを教えてくださった。
本当にありたがった。
あの時、杉沼先生や立花先生と相談できなければ、本人や家族の考えもまとまらなかったかもしれないし、阿部友里香がひそかに思い悩んでいたことも解決できなかったと思う。
本当に、人と人とのつながりだ。
4月15日は、盛岡南高校の入学式。
新入生の、すがすがしい眩しい顔が目に浮かぶ。
おめでとう、友里香。